[大峰]神童子谷・ノウナシ谷
1997年9月20日遡行
へっついさん
この記録は、niftyserveのFYAMAALP11番会議室に書いたものです
大峰を歩き始めて8年。
大峰の魅力は谷筋にありって、どこかで聞かされて、この会議室に飛び込んで2
年が立ちました。
この間、MOGU師匠や、佐野さん、ほんたびさん、始め多くの囲炉裏の仲間達に助
けられ、やっとこさここまで来れるようになりました。
25000分の1の地図に、1本だけ引かれていた赤線。そこに、谷筋からの赤線が
加えられる。大峰が、線から面に変わって、山域が見えるようになりました。
今シーズンは、眠虫さん、PANCHOさんと言う、強力な仲間も加わり、今までの師
匠におんぶにだっこの谷行きから、なんとか卒業出来そう(^_-)
今回の神童子谷は、小山伏にとって、なにかと思い入れのある谷行きなのです。
この報告を持って、「初心者」は、返上させて頂きます(^^ゞ
で、真面目に報告って、そんなこと出来る訳ないか(^^ゞ
【日 時】1997年9月19日夜発〜21日
【天 気】晴れ
【メンバー】PANCHO、小山伏
【ル ー ト】神童子谷〜ノウナシ谷〜大普賢〜オソ小屋谷(下降)
【地 図】弥山
[前夜祭]
PANCHOさんが仕事で遅くなり、10時に王寺を出発。
先々週から、右足に神経痛がでて足先が上手く上がらない。
医者に行ったら、重いもの持っちゃだめ、冷やしたらだめ、酒呑んじゃだめ、
で、治療は?毎日10分腰に電気をあてるだけ。他になんにもしてくれなくて、
長くかかりますよ〜、だって。
そんな、まどろっこしい事に付き合ってられないので、バンテリン塗っていざ出
発!でも足が痛い(;_;)
とろとろ運転で、神童子林道終点までやってまいりましたのが、12時。
いくら易しい谷だからって、7時には出るからね、って言って刺し身で一杯やっ
て寝るつもりが、PANCHOさんが物足りなそうな顔をしてるので、おでんを温め
て、本格宴会に入ってしまった(^^ゞ
いつもの事ながら、このパターンはなんとかならんもんだろうか?
結局寝たのが3時前で、出発は9時過ぎとあいなりました(^_^;)
[ノウナシ谷出合いまで]
神童子谷に降りると、左岸に鉄の桟道がついている。
谷は渕の連続で、暑い時なら泳いで行くが、桟道をすっとばす。(ただし、夏で
もこの谷は寒いので、やっぱ桟道かな?)
桟道が終わり、谷がゴルジュになっていて、右手に道が登っている。登って降り
て行くが、降り口の足元が悪い。ここで一思案(-_-)「ひょっとして、これヘッ
ツイサンとちゃう?」
と言うおまぬけがあって、戻ってゴルジュを覗くと、果たして写真で見た通りの
風景がありました。
思ったより大きくなく、膝くらいでひたひた歩いて行ったのですが、その水の冷
たいこと。抜ける頃には足が痺れる位でありました。
高見渕の明るいナメ
さて、本流遡行でしばらくで、高見渕。
大きな丸い渕の先に3m位の滑滝。その上にも2段の小さな滑滝がある。
しばし景観を楽しんで、さてどちらへ行くか。
渕が深そうで、右は壁。左手に道がついているので辿ってみるが、どんどん上が
っていく。ちと、おかしい、と、ガイドをゴソゴソ。
「渕の右を巻く」え?行けんのかいな、と、回り込んでみると、水の中に足場が
あって、滝の下まで回り込んで行けました。
さて、ここからナメの岩を乗り越すのですが、ホールドがこまかい。一つ足を掛
けて身を乗り出すと、実に微妙な所にハーケンが一枚打ってあって、これを足場
に乗り越すことが出来ました。
その先のナメを伝って行くと、右手の渕の奥に3m程の滝が落ちている。泳ぐし
かないので、一段目までもどり、右手の踏み跡を木の根を掴んで高巻いて行く
と、その奥にも5mの立派な滝がありました。赤鍋の滝らしい。
滝の下部が見事にえぐれて、岩小屋の様になっている。丸い渕にはたっぷりと水
をかかえ、川幅いっぱいに落下している。泳いで取付いたらえらいことでした。
ところで、渕のナメでうろうろしている時、幼児を背負子で担いだアベックが渕
の下までやって参りました。
おそろいのカッコエー、ウェアーに身を包み、トーキョーの人みたいな雰囲気
で、ホームレス風体の我ら二人は、こそこそと巻き道へ逃げ込んだのでした(^^ゞ
ここから、長〜い本流遡行。
小山伏「あ〜、えら」PANCHO「滝がないと、休めませんねぇ」
谷の奥にポツンと見える峰の辺りが二股だと思うのだが、中々近づかない。
頑張れずに、休憩!神経痛が痛てぇよぉ〜
釜滝。この緑色の淵はどうだ!
一服して、少しで、釜滝に出合う。
緑色の渕を持った、2条7mの美瀑である。右の滝は2段になっていて、大きな
お釜の様な渕を持っている。足下の渕には小魚が泳ぎ回っている。
心洗われる落ち着いた景観に、すぐにまた休憩。今回は観光沢登だから、きれい
な所では必ず記念撮影となるのでした。
ここは、左手の立派な登山道で、二股に降りた。
(ここまで、約1時間40分)
[ハリンド谷出合いまで]
左が犬取谷。右のノウナシ谷に入る。(なんちゅう名前や!)
滝を一つ越え、滑床を歩く。いよいよ谷らしくなってくるかと期待させるが、す
ぐ本流遡行に戻ってしまう。
右から、田の小屋谷、イハシ谷と支谷が2本入る。二本目の出合いは、広いガレ
場になっている。本流遡行にええかげん飽きて、休憩。神経痛が痛い。こればっ
かしや(^^ゞ
さて、ここからやっとこさ滝が始まった。2条5mに始まって、ナメ、3m、5
mと簡単に登れる滝が連続して出てくる。と、奥に長い瀑布が望めた。
近づくに従って、段々と大きくなる。左手に立派な壁を従えた、35mの堂々た
る滝。右手の障壁は更に高く聳えている。
堂々とした、ノウナシ滝
ノウナシ滝と言う看板が木に打ち付けてあるのは、ちと興ざめではあるが(^_^;)
ノウナシと言う名前から、しょうもない滝かと思っていたが、なんと立派なこと。
踏み跡が右手のルンゼについている。どんどこどんどこ滝の高さ以上に登って折
り返し、障壁の上に出る。滝を足下に眺め、リッジを辿り、落ち口へ踏み跡が続
いているが、懸垂になるので、さらに先で谷筋に降りる。
千手滝と、その上の馬頭滝
しばらく小滝をこなして行くと、左手に千手滝、15m程が落ちている。
真っ直ぐのルンゼを滝の高さまで登って振り返ると、滝と同じ面で壁が続き、実
に奇麗である。これに紅葉が加われば、更に美しいであろう。
滝の高さの少し上で、壁の下のバンドを辿り、落ち口上のリッジに出ると、馬頭
滝が10m程の高さで落ちていた。小さい釜を持ち、回りを壁で囲まれたチムニ
ー滝で、ここからしか見えない。
しかし、こんな所にも看板が打ち付けてあった。(ここは、観光名所なのだ!)
そのまま、リッジを辿って落ち口へ出る。
これも立派な、地蔵滝
更に小滝を越えていくと、地蔵滝の看板。だけではなく、滝もありました(^^ゞ
20m。壁も立派で、美しい滝であります。
ここは、右手を簡単に巻いて、すぐに、ハリンド谷出合いへ着きました。
(ここまで、約2時間20分)
[源流域まで]
右の脇の宿谷へ入る。
すぐ二股だが、右俣は水がないので、自然に左俣に入って行く。
ゴーロから、ナメ、5m、ゴルジュ、小滝の連続と、楽しく遡行していく事40
分程で、3mほどの滝で、谷筋が北に向いて、その先がトユ状のナメになってい
る。
ここから、右の斜面を登って行くと、脇の宿の最低鞍部につくはずである。
今日は、ここまで。
まだ、4時前だが、ゆっくりと宴会の準備にとりかかる(^^ゞ
[宴会]
今回のテーマは、秋の夜長を源流域で月を愛でての宴会だったので、盛大に薪を
集める。が、結局燃やしきれず、あの労働はなんだったんだろう?
お鍋を囲んで、一杯。小山伏はお酒。PANCHOさんは、安かったからと、ラム酒を
持って来ていた。
香りは良いのだが、味がどうも?良く裏の表示を読むと、なんと「製菓用」!料
理の香り付けにも良いと書いてあるではないか(ーー;)
そんなもん持って来るなぁ!
でも、酒がなくなったので、呑んだけど、悪酔いしてしまって、翌日はやはり、
9時出発となってしまいました。
[つめて、奥駈道へ]
源流にもナメが続く
予定は、右手を脇の宿だったんだけど、この先のナメが気になるので、谷筋を!
滝を越えてトユ状のナメを辿ると、その先には、更に滑滝がなんと200mも続
いているではないか。最後の、おまけと言った感じで、なんか得した気分で、一
日が始まりました。
ナメが終わると二股で、右をとる。更に、右、右をとって、水がなくなると、谷
もなくなり、踏み跡をたどって、40分程で、奥駈道へでました。
下ってしばらくで、脇の宿の鞍部。小普賢を越えて、大普賢へ。
神経痛がえらい(^_^;)30分歩いて10分休憩の師匠譲りのペースで行く。(^_^;)
元気なPANCHOさんは、先に行って、あっちこっち走り廻っている。
大普賢のかかりで、20人ほどのハイカーのパーティーが登って行く。
PANCHOさんは、何に恐れをなしたのか、登らんと、巻き道を行きましょうと言う。
ここまで来て、三角点くらいは触っておきたい。めったに来ることないんだから
と、説得して、登りかける。と、PANCHOさんが、「上で、おとうさんと呼んでい
いですか?」と、聞く。
どうやら、パーティーの中に可愛い娘がいて、みすぼらしい格好で出合うのが恥
ずかしかったみたい。結局登ったものの、景色を見る余裕もなく、20人のパー
ティーの間をすり抜けて降りていきました(;_;)
何処から見ても風格の有る、大普賢岳
国見を巻いて下って行くと、稲村・バリゴヤの稜線が美しい。更に下ってクサリ
場から振り返ると、大普賢・小普賢・日本岳の山並みが美しい。
最低鞍部の稚児泊から、オソ小屋谷を下ることにしました。
(ここまで、約2時間20分)
[オソ小屋谷下降]
ガレ場を下って行くと、左手が凹地になっている。真っ直ぐ西へ乗り越すと、白
い赤ん坊大の石のガレ場が、広く、川床まで続いている。
先行するPANCHOさんへの落石が怖い。右手の樹林帯へ逃げて、下降すること30
分で川床へ着いた。
川筋を辿って40分程で、右に小屋があり、その前に杣道が通っている。
ほとんど人が歩いてないらしく、ひどい薮である。
20分ほどで、道が怪しくなり、川筋をながめると、どうやら二股あたりである。
二股からは左岸に立派な杣道が付いていると聞いていたので、先行するPANCHOさ
んに下りベースで、と声を掛けるが、道を探すのに精一杯らしい。
途中、立派な道が折り返すように付いていたが、これを辿れば、二股に出れたん
だと思う。
遂に、山がれで道がなくなった。
地図で確認すると、二股を越えたルンゼ辺りである。
ルンゼを下って、本流に出て、左岸を登るが、壁に阻まれた。その下をトラバー
スしていくとルンゼが入っている。
少し登ると、2段40m程の滝に出合った。足元にジュースの空缶が2個ころが
っている。
この上に道があると確信し、登りにかかる。
水がほとんどなく、ホールドもしっかりしている。が、なにせ40m。慎重に登
ると、新しい桟道にぶつかりました。
今回、最大の滝登りでありました。またまた、おまけを貰ったような(^^ゞ
このあとの道は、新しい桟道が延々とつけられ、最後には鉄の梯子まで出てき
て、あっけなく林道に降り立ちました。
林道を20分で車に戻り、無事今回の遡行を終了しました。
(ここまで約3時間20分)
[後記]
谷筋では、鹿にもであい、アサギマダラにも迎えられ、奥駈道では紅葉のはしり
も眺められ、大峰の眺望もすばらしく、小山伏にとって、大峰の山と谷の集大成
のような谷行きでありました。
お付き合い頂いたPANCHOさん、ありがとうございました。
小山伏の登りのペースの遅さに体力を持て余してるみたいだったけど、また、付
き合ってね。足がなおったら・・・いや、治っても、同じペースかな(^_^;)
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