[大峰]弥山川
オオヤマレンゲを求めて(^^;)


1998年7月4日遡行



テン場に咲く、オオヤマレンゲ

この記録は、niftyserveのFYAMAALP11番会議室に書いたものです
紀伊ハンターさん、山太さんのレポートに刺激されて、行ってきました(^^;)

実は、小山伏がFYAMAにお邪魔するようになったきっかけは、弥山川に行きたか ったからなのです。
エアリアマップ片手に、大峰・台高をうろうろしてて、どうしても踏み込めなか ったのが、弥山川でした。
なにせ、通行止めの看板から始まって、クサリでシャッタアウト、死者多発の看 板に、案内板の撤去に、登山者通行止めの看板まで、年々エスカレート。
誰だって二の足をふみますよねぇ。

で、3年前、この会議室の前身にお邪魔して、過去ログを探ったんですが、報告 なし。沢登りなら行けるんじゃないかと、沢の会議室にお邪魔すると、教えてあ げるから、おいで、と言われて、沢に没頭して、3年目になります。
で、教えてくれた人に、そろそろ弥山川を、と、お伺いを立てると、「行ってら っしゃいな。登山道でしょう。行った連中は、皆、良い所だったって、言ってま すよ。」って。

前置きが、長くなりましたが、なにしろ、10年近くの思い入れの入った、川な のです。
いわば、小山伏にとって、弥山川行きは、FYAMAの卒業レポートのようなもので す。

更に、沢に没頭していて気がつかなかったのですが、この会議室の前身で、佐野 雅也さんが1996/10/04に報告されていたのを、行く寸前に知りました。
大変参考になりました。有り難う御座いましたm(__)m
また、関西のFYAMAの仲間たちが集う、囲炉裏で、話題になった事も、行くきっ かけになりました。
更に、冒頭に書きました、今年のオオヤマレンゲは何処で見ようかと、言うのも ありました。
おまけに、突然の梅雨明けとなれば、行くっきゃない!
多くの、FYAMAerに助けられ、刺激され、天気に後押しされ、うう〜ん感激!

では、報告(とっておき情報もありますよ)

【日  時】1998年7月4日〜5日

【天  気】晴れ

【メンバー】小山伏

【地  図】弥山




[サブタイトル]

弥山川の登山道を登って、オオヤマレンゲの下で夜を過ごす。
下山は、西尾根からカナビキ谷へ(これは、パルプさんに教えてもらいました)

【4日:登山】

[アプローチ]

広い、白川八丁
5時15分、熊渡に、車を置いて、橋を渡る。
どうも、雰囲気が柔らかい。登山者通行止めの看板がなくなってる。車止めもな い。
佐野さんの報告をプリントアウトしたのを読みながら、ぼつぼつ行く。
どうやら、車で入れるみたいだ。
久々の登山靴で、足が重たい(^^;)
ミノ川を過ごし、分岐から降りると、カナビキ谷を渡り、降りると、白い河原が 現れた。
白川八丁だ。
(ここまで、35分)

[一ノ滝のつり橋まで]

広い河原だ。河原の真ん中が盛り上がっている。周りの樹林帯の方が低い。
水が流れるとしたら、どんな風になるんだろう?
快調に歩をすすめると、奥の方に、切り立った岩峰が二つ向かい合って切り立っ ている。
あそこへ行くんだと、気分が高揚して来る。
谷が徐々に狭まり、水が見え出すと、谷奥右手に、ガマ滝が釜を持って、掛かっ ていた。5m程の岩盤を、僅かな水が滑り降りている。
(ここまで、15分)

ガマ滝は、釜がきれいだ
双竜の滝を見下ろす
指導表に従って、左手の登山道を行く。鉄の梯子が始まる。確かに古びているが、 しっかりしている。ダム、堰堤と越え、左から、谷が入る。岩盤の上にクサリが 張ってあるが、登山靴では、すこぶる滑りやすい。
も一つ支流を越え、小さな「双竜の滝」を桟道から見下ろす。その下流は瀞にな っていた。
仙人くらの壁と、対立する、左の岩峰をめざす
登山道は、滝を二つ巻いて、河原に降りる。
休みたい所だが、ちょっと我慢すれば、素晴らしい渓谷美を持った河原の歩道歩 きになる。ゆっくりくつろげる所だ。
その奥には、あの二つの岩峰が、近くに見える。あそこに、行くんだぁ!
快適に河原を行くと、岩が段々、大きくなって来る。谷は左に曲がり、右の支流 に橋が掛かっている。
ボルダリングの要領で、大岩を乗り越え、橋を渡り、本流沿いを見ると、立派な つり橋が掛かっているではないか。
(ここまで、1時間)

立派な橋である。どうも、佐野さんや、他の人の話しと違う。
思えば、今までも、最近作られたらしい、立派な桟道が幾つか、ついていた。橋 を渡って、橋の標識を読むと「整備年度、平成9年」と書いてある。
どうやら、ここまでは、作り直したみたいだ。ラッキー!

立派なつり橋は、架け替えられたばかり
一の滝は、豪快に落ちていた
それは、さておき、一の滝と、その上の2の滝あわせて、50mは、素晴らしい。
特に、一の滝は、どの方向から見ても美しい。下は大岩で、そこにぶち当たって 飛沫を上げる姿は、周りの木々ともあいまって、紅葉の時には、感激物であろう。
立ち去りがたい思いを残して、梯子登りにとりかかる。

[仙人くら前のテラスまで]

梯子を登って、20分ほどで、3の滝手前に着いた。
滝は、岩陰に隠れて見えない。緑色の釜だけが、下に望める。
降りて行くのも、おっくうだ。実を言うと、梯子登りで、疲れてしまった(^^;)
この先で、見えるかも知れないと言う期待は、見事裏切られてしまった。
さて、帰るなら、この辺りで、撤退。これから先は、行ってしまえば、帰れない。
恐怖の梯子登りが続くのだ!(と、一寸おどかしておこう)

岩間に、滝が4段になってかかっている。下の3本は2条だ。山水画に描かれる 滝そのままの姿に見ほれて、しばし休憩。
その先山腹を巻く所で、ガク紫陽花に見惚れて、岩陵を攀じ登ってしまう。道が 消えて、テープもなくなったので、あわてて戻る。
どっと疲れて、しばし休憩。
アサギマダラが、白い花に留まっている。こんな季節になったか。と、暫し、歩 を休め、飛び去る姿を、眼で追う。
ま、これ意外にはないであろうと思われる細尾根に取り付けられた梯子は、ほと んど垂直。大方は、二組でワンセット。
恐らく、ザイルで確保して登っていたら、梯子一つに、30分はかかるであろう。 テラスまで、10時間でいけるかなぁ。弥山川って、すごい谷なんだ。と、改め て感激すること、一入。って、ただ休みたいだけ(^^;)

もう、登るしかない。ぐんぐん登っていく。梯子は、トータルで、数段が痛んで いるだけで、実にしっかりしている。手がかりの鉄線が切れた所は、全部ではな いが、クサリで補修してある。
「山想遊行 通」の黒い通行手形に安らぎを覚える様な場所ではない。
すでに、垂直に切り立った岩陵登りに入っている。左手に、谷をはさんで、20 0mの壁が切り立つ。反対側には、白川八丁が望める。あそこから見た、岩峰を 今、登っているのだ!
更に、その向こうには、大日、稲村からバリゴヤの稜線が見える。

左は、岩壁だ
眼下に、辿ってきた谷が見える
その先で、遂に、身体が、梯子からも、僅かな樹林からも切り離される時が来た。
岩に、クサリが垂らしてある。
これを越えれば終わりなんだろうが・・・・・・
クサリをつかんで登るのは、どうも不安だ。じっくりと岩を読む。足がかりは充 分。ルート取りさえ間違わなければ、すんなりと行けるだろう。
深呼吸して、お尻の穴を締めて、取り付く。ああ、登山靴がうらめしい。沢靴な ら、すっと抜けるのに、登山靴は、足の甲が岩にひっかかる。ちゃんと岩から足 を外さないと駄目みたい(^^;;;;)気の遠くなるような、数分間でした。
あと、申し訳程度の腐った木の階段を二つ登って、岩峰のてっぺん。対岸の岩峰 は更に、50m程高い。
ちょこちょこっと降りると、広いテラスに出てきた。
(ここまで、1時間20分)

双門の大滝と、仙人くらの岩壁
おお〜。あれが「双門の大滝」か!対面の岩峰との間の、細い岩の切れ目の中を、 一直線に落ちる、60m。あの真っ直ぐな、岩の切れ目もすごいが、その中を落 ちる滝もすごい、って、何を感心してるんだか、訳が分からなくなるくらいすご い。
その下は、釜をもって、小滝を2本かけ、更に、60m、30mと斜瀑を連ねて いる。行けるものなら、このゴルジュを下から溯ってみたいと、沢屋の本能が、 むくむくと沸き上がって・・・はこなかった(^^;)コワイ

[河原小屋まで]

しばし休憩の後、樹林帯を登る。双門への道を探すが、分からず。
樹林帯を抜けると、見晴台に出た。遭難碑があった。
左に道が曲がる。真っ直ぐ登っていくと、ザンキ平の肩に出てきた。
この先で、少し道が崩れている。
クサリに従って、降りていくと、ガレた先に、道が続いているのが見える。
トラバースして、どんどん下っていく。谷底に、滝が望める。下の方で、三つに 分かれている。三鈷の滝であろう。
どんどん下って、やっとこさ滝の横に出てきたが、樹林に遮られて滝は見えない。
その先で、河原に降りた。アマゴが、悠々と泳いでいる。ここまでは、釣り屋も 来ないみたいだ。
(ここまで、1時間10分)

ゆっくりと、お昼を食べて、巻き道を行く。滝の音がするが見えない。
又、河原に降りて、しばらくで、又巻く。谷は滑床で、何処かで斜瀑が落ちてい る様だが、見えない。(ここが、寝覚めの廊下だろうか?って、洒落なんだけど) すぐ、河原に降りると、前方右岸に、ログハウスが建っているではないか。
あれが、悪名高い、河原小屋か!
(ここまで、30分)

河原小屋は、新築されて居りました。
今の所、使用状況ゼロ。
続くテント場は、50張りはいけるかな?今の所、使用状況ゼロ。
なぜ分かるって?ゴミが一つも無い。
探しました。河原に降りる所に、ラーメンの袋と、ジュースの紙パックが一つづ つ。(これ位、持って帰れよなぁ〜)
ただ、新築特有のニスかペンキの臭いがきつすぎるので、休憩する気にもなれま せんでしたが・・・
うん、実に奇麗なテント場と小屋だ!

[狼平まで]

河原を行く。適当に巻き道がついているが、使っても良し、使わなくてもよし。
今日は、水が少ないので、すこぶる快適だ。
30分程で、ゴルジュの奥に滝がかかっている。ここは巻くしかないので、巻き 道を使う。
この辺りで、かなり足に来ている。正確に言うと、足の裏。最近、沢靴ばかりな ので、やたらと、足が暑い。限界みたいだ。靴を脱いで、足を冷やして、少し落 ち着く。
そうこうしている内に、桶ノ谷出合いに着いた。右手の、滝の掛かっているのが 本流。
(ここまで、1時間)

桶ノ谷出合いの谷
出会いに咲く、オオヤマレンゲ
出合いになんと、今回の山行きの目的の、オオヤマレンゲが咲いているではない か。早速、撮影。満足満足。

さて、本流左岸を行く。テープを無視して、突き当たりの壁まで行く。(だって、 ええかげんにテープつけてる)岩の裏を廻って、大岩の下に出る。谷は右折。
どう、行くんだろうと、眺めていると、なんと、右手の大岩に、鉄の杭が20本 以上突き刺さっているではないか。拷問やなぁこれは、と思いつつも、ありがた く使わせていただく。
右は、取り掛かりが、ちと難しいが、岩の上の最期まで、鉄の杭が刺さっている。
左は、取り付きは簡単だが、杭は2本だけで、あとは、クサリで攀じ登る。
右のクイに、手前の岩の上から取り付こうとするが、情けないかな、足が届かな い(;_;)シュリンゲをかけて足場にして、なんとか、乗り越す。

その先に、やはり、岸壁に杭が10本程、水平に打ち込んである。水が多ければ 必要なのかも知れないが、今日は河原に降りて登ってきても行けるような所であ る。
その先の滝を右から巻くと、滝の上で、平流になった。
気が緩んだか、濡れた岩で何度も足を滑らしながら、しばらくで、狼平の登山道 に出てきた。
(ここまで、30分)

[テント場まで]

さて、後はテント場。谷筋を行く。斜瀑を右から左へ跳んで、河原を行くと、左 手に絶好のテント場がある。本当は、源流まで行くつもりだったが、足が痛い。
ま、いいか、と、良く見ると、オオヤマレンゲが群生しているではないか。
決ぃ〜めた。まだ、2時半にもなってない。
(ここまで、5分)

ゆっくりと、花を愛で、食事を作り、酒を飲み、なかなか、夜はやって来ないの であった。

【5日:下山】

[西尾根取り付きまで]

今日は、弥山川の西尾根を下る予定だ。
狼平から、頂仙岳の巻き道を行く。狼平周辺のオオヤマレンゲは、最期の力を振 り絞って咲き誇っている。
頂仙岳を巻いて、も一つ巻いて、左の尾根を越した辺りから、右手を注意して見 ていると・・・木の桟道が、木の葉に隠れて見える。これが、弥山川西の尾根の 取り付きである。
(ここまで、50分)

[なぜか、カナビキ谷へ降りるまで]

弥山川の登山道が整備された当初は、これが下山路だったみたいだ。
古いテープと、古いゴミが散見できる。
少し、道が分かり難いので、取りあえず、北に向かうと、踏み後が分かって来る。
開けた所で、左からの踏み後は登山道からのもの。右への踏み後を辿ればいいの だが、不安ならば、そのまま北へだだ下れば、10分程で、左に谷筋が現れた所 で、道に出合う。
右手の尾根を辿れば、しっかりした道である。
右は崖で、鋭くルンゼが入り、左手の谷は段々遠のく。と、植林に変わり、一気 に下っていく。
15分程で、右から、更に立派な道が合わさり、道は右折。(これが、エアリア マップに載っている、黒点線の道であろう)
すぐ、谷にぶつかり、それに沿って、道は左折。
その先で、道は3っつに分かれる。正面は、尾根筋だが、ただの踏み跡。
右が、エアリアマップの道で、白川八丁の入り口に降りるのであろう。
テープはなぜか、左についている。え?ま、いいか。
ジグザグに下ると、谷に降りた。
(ここまで、1時間)

[林道まで、谷下り]

左岸に渡る。申し訳程度に、黄テープが一個。
左岸を下るが、右岸の方が歩きやすそうなので渡ると、すぐ、堰堤にぶつかった。
左を巻いて降りる。すぐに、左に壁が立つので、右岸に渡って下る。
今度は、右に小さな壁が立ったので、左に渡る。そのまま、下っていくと、申し 訳程度の黄テープが、「正解でした」とでも、言う様にある。
ここで、谷が二つに分かれる。
真ん中の島を下っていく。
と、島の終わり、再び谷が合わさる所に、テープがあった。「大正解」とでも書 いとけ!
左に渡ると、その先に橋が見えた。車も見えた。ほいほい、で、林道到着である。 (ここまで、45分)
あのテープの意味が分かったよ。こっちの方が早いわ。
恐らく、昔はもっと巻き道がしっかりついていたのでしょう。

[熊渡まで]

車が、何台か入って来ておりました。
ま、僅かのことだから、ここまで上げんでも、とも思いますが(^^;)
知ってたら、小山伏も、ここまで来るまで来てたでしょう。
で、無事熊渡に到着。
(ここまで、20分)

[後記]

何とか、行数も、300行で収まりそうです。
長文、申し訳ありませんでした。
小山伏のFYAMA卒業レポートで、気合が入ってしまいました(^^;)
弥山川は、どうも、登山道再開に向けて、準備中のようですね。
その内、登山者で賑わうでしょう。
でも、岩と沢の基本の基本位は知っておいた方が良いような気がします。
それと、水量の差は、かなり大きいと思います。水の多い時は避けた方が。
弥山川は素晴らしい谷でした。
また、事故が連続して、登山道が閉鎖にならないように、充分気をつけて、楽し んで下さい。
この、報告が、参考になれば、嬉しいです。


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